大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

福岡地方裁判所 昭和50年(行オ)2号 判決 1975年10月24日

佐賀市高木瀬町大字高木五八番地

(送達場所 福岡市博多区上呉服町五番一六九号吉田喜一郎方)

再審原告

株式会社 藤工社

右代表者代表取締役

吉田喜一郎

福岡市博多区博多駅東二丁目一一番一号

再審被告

福岡国税局長

篠田信義

右指定代理人

馬場宣昭

高田民男

本田義明

大神哲成

小柳淳一郎

江崎福信

主文

一  本件再審の訴えを却下する。

二  再審訴訟費用は再審原告の負担とする。

事実及び理由

一  再審原告は、「一、再審原告と再審被告間の福岡地方裁判所昭和二九年(行)第二二号法人税審査決定取消請求事件について、同裁判所が昭和三一年七月五日言渡した「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を取消す。二、再審被告が再審原告に対し昭和二九年八月六日付でなした昭和二七年四月一日から昭和二八年三月三一日に至る事業年度分の法人税審査決定は之を取消す。三、訴訟費用は再審被告の負担とする。」との判決を求め、再審事由として大要別紙記載のとおり述べ再審被告の主張に対し、「原判決が昭和三一年八月三日控訴期間満了により確定したことは認める。」と述べた。

再審被告は主文同旨の判決を求め、その理由として、「本件再審の訴の対象たる原判決は、昭和三一年七月五日言渡されたのであるが、再審原告において控訴手続をとらなかったため、同年八月三日控訴期間満了により確定したものであるところ、再審原告は遅くとも原判決が送達された時点において再審事由該当事実を知っていたものと言うべきであるから、再審原告としては、原判決に対し控訴を提起してその当否を争うべきであり、したがって、本件再審の訴えは民訴法四二〇条一項但書に該当し不適法である。更に、前記のとおり原判決は昭和三一年八月三日確定したものであるところ、本件再審の訴えは右確定の日から五年以上経過した昭和五〇年六月三日に提起されているから、民訴法四二四条三項に牴触し不適法な訴えとなり、却下を免れない。」と述べた。

二  本件再審の訴えの適否につき判断するに、再審原告は原判決には民訴法四二〇条一項六号、七号各該当の再審事由がある旨主張するところ、同条二項によれば右各号に掲げる事実が再審事由に該当すると言い得るためには「罰スヘキ行為ニ付有罪ノ判決若ハ過料ノ裁判確定シタルトキ又ハ証拠欠外ノ理由ニ因リ有罪ノ確定判決若ハ過料ノ確定裁判ヲ得ルコト能ハサルトキニ限」る旨定められているにもかかわらず、再審原告は右の条項に該当する事実について主張をせず、かつこの事実を認める何らの資料もないのであるから、本件再審の訴えについて適法な再審事由の存しないことが明らかである。

よって、本件再審の訴えを不適法として却下することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 南新吾 裁判官 小川良昭 裁判官 加藤誠)

別紙

一 原裁判において証拠として取調べられた再審被告提出の各書証はその多くのものが偽造されたものであり、また、原裁判における証人植松敏雄、同柳恒男の証言中には明らかに偽証と目される事実が数多く見受けられる。

二 したがって、かかる証拠を基礎としてなされた原判決は、たとえそれが確定判決であっても、再審において改めて審理されるべきものである。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例